ブッシュとは?ベアリングとの違いや代表的な種類・使い方を解説!
機械の動きが「引っかかる」「ガタつく」「すぐ摩耗する」といった場合、その原因が軸を支える部分の部品選定にあることは少なくありません。そこで重要になるのがブッシュです。ブッシュは軸と受け側の間で当たり面をつくり、摩耗・焼き付き・振動を抑えて滑らかな回転・摺動を支えます。ただし、材質や潤滑条件、荷重・速度の想定が合わないと寿命や精度に直結する点も要注意です。
当記事では、ブッシュの役割や材質の系統、代表的な種類と使い分けの判断軸などを整理します。
ブッシュとは?
ブッシュとは、軸や筒状部材の穴に挿入して用いる円筒形(リング形)などの機構部品の総称です。英語のbushing/bushに由来し、文献によっては「ブッシング」とも呼ばれます。図面や仕様書では文脈で意味が変わり、「すべり軸受」を指す場合もあれば、部品間のすき間調整用の筒、穴あけ加工でドリル位置を案内する治具部品を指す場合もあります。
ブッシュの基本的な役割と特徴
ブッシュの基本的な役割は、回転や往復運動を行う軸を安定して支持し、摩耗や振動、騒音を抑えることです。転動体を用いず、軸とブッシュが面で接触するため、構造が簡素で衝撃荷重や高荷重に強い点が特徴です。
また、低速域でも性能が安定し、設置スペースを抑えやすい利点があります。用途や使用環境に応じて、給油が必要なタイプと、材料自体に潤滑性を持たせた無給油タイプが選ばれ、保守性や耐久性の面で使い分けられます。これらの特性から、ブッシュは過酷な条件下やメンテナンス頻度を抑えたい箇所で活用されます。
ベアリングとの違い
ブッシュとベアリングはいずれも軸を支持し、摩擦や摩耗を抑える部品ですが、構造と適した用途が異なります。一般にベアリングは、ボールやローラーなどの転動体を用いて回転を支える「転がり軸受」を指し、高速回転や高い回転精度が求められる場面に向いています。
一方、ブッシュは転動体を持たず、軸と部品が面で接触して動く「すべり軸受」に分類されます。構造が簡単で衝撃や振動に強く、低速・高荷重の条件でも安定して使える点が特徴です。回転性能を重視する場合はベアリング、耐久性やコスト、環境条件を重視する場合はブッシュが選ばれます。
ブッシュの材質の系統
ブッシュの材質は、使用条件や求められる性能に応じていくつかの系統に分類されます。代表的なものは金属系・複層系・樹脂系の3種類で、それぞれ特性や適した用途が異なります。ここでは、系統ごとの特徴を解説します。
金属系ブッシュ
金属系ブッシュは、鉄鋼、鋳鉄、銅合金(黄銅・青銅など)、アルミ合金などの金属を主体にしたタイプです。高い強度と耐摩耗性を確保しやすく、薄肉でコンパクトに設計できる点が特徴です。面圧が大きい箇所は鋼や青銅、摺動性を重視する場合は青銅系や焼結含油材を採用することがあります。
樹脂に比べて寸法安定性が高く、比較的高い回転数でも条件を満たしやすい一方、摩擦熱による焼付きリスクがあるため、給油溝の設計、グリスや油の供給、含油、固体潤滑材(黒鉛プラグなど)を含む潤滑設計が欠かせません。必要に応じて焼入れ、硬質クロムめっきなどの表面処理で耐摩耗性や耐食性を補います。給油が前提になるケースも多く、保守計画まで含めて選定します。鉄系は水分でさびやすいので、温度差が大きい環境や真空環境では潤滑剤の性状変化にも注意しましょう。
複層系ブッシュ
複層系ブッシュは、外側に鋼や鉄系の裏金を用いて強度を確保し、内側の摺動面にPTFEやPOMなどの低摩擦・自己潤滑材を重ねた2層以上の構造です。裏金+焼結青銅層+PTFE層のような構成もあり、薄肉でコンパクトに設計できます。許容面圧が大きく、給油配管や定期給脂を省けるため、コストと保守負担を抑えやすい点が強みです。材料によっては耐薬品性に優れ、温度も概ね280℃程度まで対応します。
一方で、芯ずれや片当たりによる局部荷重に弱く、揺動を高荷重で繰り返す条件では機能が制限される場合があります。取付精度、相手材の硬さ、面粗さを含めて条件を確認し、必要に応じてエッジ荷重対策を行います。また、摺動層が薄い製品は異物噛みで摩耗しやすいため、シールや防塵も検討します。
樹脂系ブッシュ
樹脂系ブッシュは、PTFE、POM、PA(ナイロン)、PEEK、PPS、PEI、ポリウレタンなどの樹脂を用いたタイプです。軽量で摩擦係数が低く、自己潤滑性を持つ材料を選べば給油頻度を下げられます。さびないため水回りでも使いやすく、材料によっては耐薬品性や高温・低温への適性も期待できます。さらに金属同士の摺動に比べて騒音を抑えやすく、電気絶縁が必要な箇所にも適します。薄肉で成形でき、量産時のコスト面でも有利です。
一方、金属に比べて許容面圧が小さく、荷重が大きい条件では摩耗やへたり(クリープ)が進みやすい点に注意が必要です。また熱膨張や吸水による寸法変化が起きる場合があり、はめ合い不良や割れにつながるため、使用温度、相手材、PV値を踏まえて選定しましょう。高温域はPEEKなどが有利ですが、材料費は上がります。
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ブッシュの代表的な種類と使い方
ブッシュは給油が必要な給油タイプと、給油不要の無給油タイプに大別できます。材質は金属系・複層系・樹脂系が代表例です。ここでは、それぞれの使い方を解説します。
治具(汎用)ブッシュ
治具(汎用)ブッシュは、加工治具や検査治具に組み込み、工具やピンの通り道を安定させるガイド部品です。代表例は、ドリルの芯ぶれを抑えて穴位置を繰り返し再現する「ドリルブッシュ」や、位置決めピンの挿入部を保護する「ガイドブッシュ」です。形状は円筒状が基本で、治具に圧入して固定するタイプ、交換しやすいようフランジ付きで座面を持たせるタイプ、着脱用のスリーブと組み合わせるタイプなどがあります。
繰り返し使用で摩耗しやすい箇所のため、焼入れ鋼やステンレス鋼などの硬質材が選ばれ、必要に応じて表面処理で耐摩耗性を高めます。使い方の要点は、加工物側ではなく治具側の消耗部として設計し、摩耗時にブッシュのみ交換できる構成にすることです。
リニアブッシュ
リニアブッシュは、リニアシャフト(丸軸)に沿って直線運動を行うための直動案内部品です。内部に鋼球を循環させる構造が一般的で、転がりで支持するため摩擦が小さく、軽い力で滑らかに動きます。装置のスライド機構として、産業用ロボット、自動化設備、検査装置、医療機器などで使われます。代表的な形状は円筒形で、ハウジングに圧入して固定する標準タイプ、取り付けやすいフランジ付き、ガタ調整ができるタイプ、密封性を高めたシール付きなどがあります。
使い方の要点は、シャフトの硬度や表面粗さ、平行度を確保し、偏荷重や芯ずれを避けることです。条件が合えば高速かつ高精度な直動が可能ですが、粉塵環境では異物噛みで寿命が落ちやすいため、防塵と潤滑管理も併せて検討します。
無給油ブッシュ
無給油ブッシュは、潤滑油の給脂を前提にせずに使えるすべり軸受です。材料に含油性を持たせた焼結材や、固体潤滑剤を埋め込んだ銅合金、PTFEなどの低摩擦材を積層した複層材が代表例で、回転・直線運動・揺動に対応できます。代表的な形状はスリーブ形、フランジ形、スラストワッシャ形、スライドプレート形です。
給油が難しい箇所や粉塵で油が汚れやすい環境、低速高荷重の可動部で効果を発揮し、建設機械やプレス機のリンク部、自動機の摺動部などで採用例が多いです。メンテナンス工数を抑えやすい一方、条件を外すと摩耗が早まるため、PV値、片当たり、相手軸の硬度・面粗さを確認し、必要に応じて少量給油で寿命を延ばします。耐熱や耐薬品に強い材質もあります。
まとめ
ブッシュは、軸や筒状部材の穴に挿入して使う円筒形の機構部品の総称で、文脈によりすべり軸受、すき間調整用の筒、治具のガイド部品も指します。転動体を用いない面接触が基本で、低速・高荷重や衝撃に強く、給油タイプと無給油タイプがあります。
材質は金属系・複層系・樹脂系が代表で、強度、潤滑性、耐食性、耐熱性、許容面圧が異なります。代表例として、治具ブッシュは工具やピンを案内し、リニアブッシュは鋼球で直動を支え、無給油ブッシュは含油材や固体潤滑材で給脂を抑えます。用途に応じて、取付精度や相手軸の硬度、防塵対策も含めて選定します。
当社では、樹脂ブッシュを一個からご注文いただけます。
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