フランジナットとは? 特徴や種類、主な用途を解説
フランジナットは、部品を確実に固定しつつ、作業効率や品質の安定化にも貢献する締結部品です。自動車や産業機械をはじめ、身近な家電製品にまで幅広く使われていますが、「普通のナットと何が違うのか」「どんな場面で使うべきなのか」が分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、フランジナットの基本的な仕組みから特徴、種類、主な用途までを分かりやすく解説します。用途に合った正しい選び方を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
フランジナットとは?
フランジナットとは、ナットの座面部分にフランジと呼ばれるつば部分が一体化した締結部品です。通常の六角ナットと異なり、ワッシャーを別途使用しなくても、相手材との接触面積を広く確保できる点が特徴です。
締結時の荷重を分散することで締付け強度が向上し、陥没やゆるみを防止する効果があるため、産業機械などの部品として幅広く使用されています。
フランジナットの特徴
フランジナットは、締結部の安定性と作業効率を高めるための工夫が随所に施されたナットです。ナット本体と一体化したフランジ構造により、荷重分散や緩み対策、作業ミスの防止といった複数のメリットを同時に得られます。
ここでは、フランジナットが持つ代表的な3つの特徴について、それぞれ詳しく解説します。
相手材への食い込みを防げる
フランジナットは、座面が広く設計されているため、締め付け時の力が一点に集中しにくい構造です。その結果、通常のナットで起こりがちな相手材への食い込みや変形を抑えやすくなります。
特に比較的薄い金属板や塗装・メッキが施された部品では、締結部の損傷が品質低下につながることがありますが、フランジナットを使用することでこうしたリスクを軽減できます。外観や精度を重視する製品に適した特徴といえるでしょう。
緩み止め効果がある
フランジナットには、フランジ裏側にセレート(ギザギザ)加工が施されたタイプがあります。このセレートが相手材に軽く食い込むことで、振動や衝撃によるナットの回転を抑制し、緩み止め効果を発揮します。
そのため、自動車や産業機械など、稼働中に振動が発生しやすい環境でも安定した締結状態を維持しやすくなります。追加の緩み止め部品を使わずに対策できる点も、実務上のメリットです。
ワッシャーの入れ忘れがない
フランジナットは、ワッシャーの役割をフランジ部分が兼ねているため、別途ワッシャーを用意する必要がありません。これにより、組み立て作業時の部品点数を減らせるだけでなく、ワッシャーの入れ忘れといったヒューマンエラーを防ぐことができます。
作業工程がシンプルになることで、作業時間の短縮や品質の安定化にもつながります。量産工程やメンテナンス作業において、特に効果を発揮します。
フランジナットの種類
フランジナットは、フランジ裏側に加工が施されているかどうかによって「セレートありタイプ」と「セレートなしタイプ」に分けられます。
使用環境や相手材の材質により選ぶべき種類が異なるため、それぞれの特徴を理解したうえで使い分けることが重要です。
セレートありタイプ
セレートありタイプのフランジナットは、フランジ裏側にセレート加工と呼ばれるギザギザ状の歯が施されています。この歯が締結時に相手材へ軽く食い込むことで、ナットの回転を抑え、優れた緩み止め効果を発揮します。
そのため、自動車部品や産業機械など、振動や衝撃が発生しやすい箇所ではセレートありのフランジナットが多く使用されています。
セレートなしタイプ
セレートなしタイプのフランジナットは、フランジ裏側が平滑な形状となっており、相手材を傷付けにくいのが特徴です。締結時の荷重を広い面積で分散できるため、薄板や表面処理された部品でも安心して使用できます。
緩み止め効果はセレートありタイプに比べて劣りますが、振動の少ない箇所や外観を重視する製品では十分な性能を発揮します。相手材の保護を優先したい場合に選ばれるタイプです。
セレートありのフランジナットを使用する際の注意点
セレートありのフランジナットは特に緩み止め性能に優れている一方、仕様に当たってはいくつか注意するべき点もあります。
セレートありのフランジナットは、フランジ裏側のギザギザが相手材に食い込むことで高い緩み止め効果を発揮しますが、その反面、表面に傷が残る可能性があります。塗装やメッキが施された部品、樹脂部材などでは外観や性能に悪影響を及ぼす恐れがあるため、用途によってはセレートなしタイプを選んだ方が良いでしょう。
またセレートありのフランジナットは締結する際に歯が摩耗・変形することがあり、再利用をすると十分な締結力が得られない場合があります。基本的には使い切りを前提とし、もし再使用する場合は締結の状態や安全性を慎重に判断することが大切です。
フランジナットの主な用途
フランジナットは、緩み止め効果や作業性の高さから、幅広い分野で使用されています。特に、振動や衝撃が発生しやすい場面や、組み立て効率・品質の安定性が求められる現場で重宝される締結部品です。
ここでは、代表的な3つの用途について解説します。
自動車・バイクの部品固定
フランジナットは、自動車やバイクのエンジン周り、サスペンション、排気系部品などの固定に多く用いられています。これらの部位は走行中に常に振動や衝撃を受けるため、緩みにくい締結が求められます。
セレートありタイプのフランジナットを使用することで、追加の緩み止め部品を使わずに安定した固定が可能です。またワッシャー不要のため、組み立て工程の簡略化にもつながります。
産業機械・設備の組み立て
産業機械や各種設備の組み立てにおいても、フランジナットは広く採用されています。モーターやフレーム、可動部を含む構造では、締結部の信頼性が機械全体の安全性や耐久性に直結します。
フランジナットは荷重を分散しながら確実に固定できるため、長期間使用される設備でも安定した締結状態を維持しやすい点が特徴です。保守・点検時の再締結がしやすい点も評価されています。
家電・金属筐体の締結
フランジナットは、家電製品や金属筐体の組み立てにも使用されています。特に、薄板金属を用いた筐体では、締め付けによる変形や陥没を防ぐことが重要です。フランジ部分が座金の役割を果たすことで、外観を損なわずに安定した固定が可能になります。
また部品点数を削減できるため、量産工程における作業効率の向上や品質の均一化にも貢献します。
まとめ
フランジナットは、座面にフランジが一体化した構造を持つナットで、ワッシャー不要で安定した締結ができる点が特徴です。相手材への食い込み防止や緩み止め効果、作業ミスの低減といったメリットがあり、用途や環境に応じてセレートあり・なしを使い分けることが重要です。自動車や産業機械、家電製品など幅広い分野で採用されており、作業効率と信頼性の両立を図りたい場面で有効な締結部品といえるでしょう。
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六角フランジナットの一覧はこちらのページでご覧いただけます。
https://wilco.jp/products/nut/nut03.html



