ねじのピッチとは?
ねじのサイズは正しいのに、ねじ穴にねじが入らない場合は、選んだねじのピッチが合っていない可能性があります。ねじを購入する際は、ねじ径や長さだけでなく、ピッチが合っているかどうかも確認して、ねじ穴に適したねじを選びましょう。
この記事では、ねじのピッチについて、測定方法も含め詳しく解説します。
ねじのピッチとは
ねじのピッチとは、ねじの山同士の間隔のことをいいます。
ねじを真横から見たときに、ギザギザになっている山の頂点同士を結んだ長さがねじのピッチです。
ねじには「メートルねじ」と「インチねじ」があり、メートルねじのピッチはミリメートル(mm)、インチねじのピッチはインチ(in)で表記します。
日本ではメートルねじが主流で、アメリカやイギリスなどに行くとインチねじが使われています。
ねじの呼び径(ねじ山側の直径)が大きくなるほど、ピッチの幅が広くなっていくのが特徴です。
ねじのサイズの見方
ねじのサイズは「(ねじ径)×(長さ)×(ネジ部)」で表記されるのが一般的です。
ねじ径の上に「M」と表記されているものはメートルねじ、「W」と表記されているものはインチねじを意味します。
例えば、「M5×10P0.8」と表記されたねじがあったとしましょう。この場合、「メートルねじ、ねじ径5mm、長さ10mm、ピッチ0.8mm」というサイズのねじであることが読み取れます。
ねじ径と長さが同じであるにもかかわらず、ねじがかみ合わない場合は、ピッチのサイズが違う可能性があるでしょう。まずは、ピッチの表記を確認することをおすすめします。
ねじのピッチには並目と細目がある
ねじには、ピッチの違いによって並目と細目と呼ばれるものがあります。以下、それぞれの違いを詳しく紹介します。
並目ねじと細目ねじとは
ねじ径は同じであっても、ピッチに違いがあるのが「並目ねじ」と「細目ねじ」です。細目ねじの方が、並目ねじよりもピッチが細かくなっています。
例えば、ねじ径「M5」でサイズ表をみてみると、並目ねじが0.8mm、細目ねじが0.5mmと表記されており、細目ねじの方がピッチが細かいことが分かります。
細目ねじは、並目ねじと比べてピッチが細かい分、ねじ山が多いのが特徴です。
これらの違いによって、同じねじ径と長さであっても、ねじがかみ合わないということが起こります。
一般的に使用されるのは並目ネジ
ホームセンターなど多くのねじはJIS規格で規定されており並目ねじがほとんどです。
並目ねじには丈夫で摩耗しにくいという特徴があり、家庭のDIY用から工業材料としてまで広く用いられています。
一方、細目ねじにはピッチが細かいため緩みにくいという特徴があり、特殊な加工で用いられることが多いねじです。
そのため、一般的にはあまり流通しておらず、専門業者で扱われているのがほとんどです。
ねじのピッチの測定方法
ねじのピッチを測定するには、ピッチゲージを使用する方法があります。JIS規格の並目ねじはM径ごとにピッチが決まっていますので、特殊ねじでない限りねじのM径さえ確認できてしまえば基本的にはあえて測定する必要はありませんが、ここではピッチゲージを使ったねじの測定方法を紹介します。
ピッチゲージを使って測定する
ピッチゲージとはネジのピッチを測定する機器のことです。
ギザギザがついた薄い板(ゲージ)が複数枚付いており、ゲージにはそれぞれピッチ幅が表記されています。
ピッチを測定する際は、ゲージのギザギザ部分をネジ山に1つずつ当てていき、ぴったりと合致するゲージでピッチを測りましょう。
素早く測定するためのコツは、ねじ径から大体のピッチ幅をねじのサイズ表で割り出しておくことです。
なお、ねじのサイズ表は、インターネットなどで簡単に見つけることができます。
ピッチゲージの種類
ピッチゲージには、メートルねじ用とインチねじ用の2種類があります。
メートルねじ用はmm単位で、インチねじ用は山数で確認するのが特徴です。
また、ねじ山の角度によっても種類が異なります。
メートルねじ用は60度、インチねじ用は55度と60度の2種類があります。
ピッチゲージを購入する際は、種類があることも念頭に入れておきましょう。
ねじの呼び径とピッチ一覧
ねじの呼び径別、並目ねじと細目ねじのピッチサイズは以下のとおりです。
ネジの呼び径 | 並目 | 細目 |
---|---|---|
M2 | 0.4 | 0.25 |
M2.3 | 0.4 | - |
M2.5 | 0.45 | - |
M2.6 | 0.45 | - |
M3 | 0.5 | 0.35 |
M3.5 | 0.6 | 0.35 |
M4 | 0.7 | 0.5 |
M5 | 0.8 | 0.5 |
M6 | 1.0 | 0.75 |
M8 | 1.25 | 1.0 |
M10 | 1.5 | 1.25 |
M12 | 1.75 | 1.25 |
M14 | 2.0 | 1.5 |
M16 | 2.0 | 1.5 |
M18 | 2.5 | 1.5 |
M20 | 2.5 | 1.5 |
M22 | 2.5 | 1.5 |
M24 | 3.0 | 2.0 |
M27 | 3.0 | 2.0 |
M30 | 3.5 | 2.0 |
M33 | 3.5 | 2.0 |
M36 | 4.0 | 3.0 |
M42 | 4.5 | 4.0 |
M45 | 4.5 | 4.0 |
M48 | 5.0 | 4.0 |
M52 | 5.0 | 4.0 |
ねじを購入する際は必ずピッチも確認しよう
ねじのピッチとは、ねじ山同士の間隔のことです。
ねじのピッチが違うと、ねじ径や長さが同じでも、ねじがかみ合わなくなります。また、並目や細目といったねじの種類が合っていないことでも、同様の問題が起きるため、注意しましょう。
ねじのピッチが合うかどうかは、ピッチゲージで測定する、もしくは、購入する際にねじのサイズ表をみて確認する方法がありますが、ホームセンターなど多くのねじはJIS規格の並目ねじで規定されており、M径ごとにピッチが決まっています。